高額でボケたリンゴを買うしかない車も持たない高齢者の不憫さ

我が町には小さなスーパーが一軒あるのだが、コンビニにも果物は売ってはいるのだが、車を持たぬ母親は町のスーパーで買い物をすることになる。私がリンゴが好きなので、車でスーパーまで母親と買い物に行った時には、十数キロ離れた大きな町のスーパーなら安くて新鮮なものが買えるから、そこに行かないかい?と尋ねるのだが、大きな町のスーパーに行くにはガソリン代と時間と手間がかかるので、遠慮してか大きな町へ買い物に行こうとはしない。

先日も車で母親と我が町の小さなスーパーに行って買い物をしたのだが、その高額な一個200円以上もする三個パックで700円近いリンゴへと母が手を伸ばした時、大きな町に車で行ってそこでリンゴを買おうと提案しようと思ったが、高いリンゴではあるが、ガソリン代をかけて大きな町に行ったら、リンゴパックを買う時に金額的にはさらに高額になってしまう。私の車では往復でガソリン代が500円くらいかかるからだ。

家に帰るとさっそく母がリンゴの皮をむいて出してくれたが案の定ボケている。
このスーパーで何度かリンゴを買っているが、たいていはボケている。
良いリンゴに当たったのはここ数年で数回しか記憶がない。
良いリンゴに当たるとその意外性に驚くほどだ。

これは私の母の場合だが、我が町には、近くに頼れる子供がいなくて、大きな町への買い物にはタクシーを利用する人もいるという。バスなどの交通手段は存在しているが、重い買い物を運ぶのが老人にとっては大変なことなのだろう。
だからきっとこの町では車を持たない高齢者は、高額でしかもボケているリンゴだと分かっていても、リンゴが欲しければそれを買うしかない。

高いリンゴであっても新鮮で美味しければ報われるが、車があれば10数キロ離れた大きなスーパーで安くて新鮮なリンゴを買える現状を思えば不憫でならないなと思うのだ。

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